
CBDを犬猫に投与した場合の症例集
1.猫 エイズ症
2.犬 腎不全
3.犬 膵炎および腎不全
4.猫 腎不全
…….4-1 日本猫
…….4-2 洋猫MIX
…….4-3 日本猫
5.猫 腸閉塞が原因と見られる腎不全
6.猫 急性腎不全
7.犬 肝障害
…….7-1 ミニチュア ダックスフンド
…….7-2 柴犬
…….7-3 トイプードル
8.猫 肝障害
9.犬 リンパ性白血病
10.犬 椎間板ヘルニア症
11.猫 猫伝染性腹膜炎症例
…….11-1 ブリティッシュ ショートヘア
…….11-2 日本猫
…….11-3 ベンガルキャット
…….11-4 ラグドール
…….11-5 マンチカン
近年、向精神作用を持たないCBD が様々な治療効果を示すことから注目されています。カンナビノイドは多様な受容体を介してその作用を発揮します。カンナビノイド受容体としていずれもG 蛋白共役型受容体であるCB1 とCB2 がありますが、CB1 受容体は主に神経細胞に発現しており神経伝達を調整しています。CB2 受容体は中枢神経外の非神経細胞,特にリンパ球やマクロファージに発現します。CBD はこれらの受容体以外にもGPR55,5-HT,およびPPAR 受容体を介してその作用を発揮すると考えられており,抗炎症作用,鎮痛作用,抗酸化作用、神経保護作用、免疫調整作用、精神安定作用や糖尿病、癌などの予防や治療の有効性が報告されています。ここでは,CBD の治療効果について血液検査結果等で表記しました。
CBDを使用するにあたり、最初に抗酸化作用と抗炎症作用に着目し、犬CRP値、猫f-SAA値の高い症例に用いることをお薦めします。治療効果については症例のデータの推移において確認して下さい。CBDの抗酸化作用は筆者が経験したことのない領域であり、これが治療効果に通じているように感じています。さらには、皮膚病でも有効に効力が発揮されており、細胞再生能の高さも期待出来るものであります。創傷の治癒促進や骨の新生増強など、外科的分野の一助にもなっています。他、猫の便秘症や神経の伝達性不全、西洋医学で克服困難な症状において改善をもたらせることを感じます。 但し、全ての疾患において必ず効くとは限りません。2〜3週間の投与をしても症状の良化が見られなければ、CBDの範疇でないのかも知れません。
1.猫 エイズ症
症例番号:F-001KR
ネコ、日本猫、去勢オス、2010/04/01生、14才1ヶ月、3kg
初診日:2024/05/11
<症状>
食欲なく、横臥し姿勢の維持困難な状態で来院。黄疸を可視粘膜に認める。
<治療>
ピュアゴールド0.3ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。
05/11、05/12は各日乳酸リンゲル250mlの皮下補液とニューキノロンの抗生物質注射を行う。
05/12には少し食欲が出たため、05/13以降はピュアゴールドとニューキノロンの抗生物質経口投与を行う。飼い主様の諸事情もあり来院回数を制限する治療法を選択した。
05/26より、全身状態良好なためニューキノロンの抗生物質経口投与を終了し、ピュアゴールドと肝庇護剤を投薬する。

2.犬 腎不全
症例番号:C-002ML
イヌ、スピッツ、去勢オス、2016/04/26生、8才0ヶ月、8.3kg
初診日:2024/05/07
<症状>
食欲なく、元気消失を主訴に来院。
<治療>
ピュアゴールド1.0ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。
05/07より、連日乳酸リンゲル500mlの皮下補液とピュアゴールドの投与を行う。
05/12には少し食欲が出たため、クレメジン、ラプロス、プロラクト鉄タブの経口投与を追加した。06/20より、貧血がひどくエポジンの注射も行う。
飼い主様の諸事情もあり血液検査回数を制限することを選択していた。
07/20より全身状態良好なため、週2~3回の乳酸リンゲル500mlの皮下補液と、ピュアゴールド、クレメジン、ラプロスの投薬を行う。
2025/4/15 長期にわたり治療していたが、2025年4月15日に残念ながら死亡した。

動画②
<09/06、全身状態の動画>
3.犬 膵炎および腎不全
- 膵炎および腎不全
症例番号:C-003MM
イヌ、トイプードル、オス、2008/01/01生、16才8ヶ月、4.9kg
初診日:2024/07/08
<症状>
痙攣チック症状を主訴に来院。
<治療>
ピュアゴールド0.5ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。
07/08より、連日乳酸リンゲル250mlの皮下補液とプレドニゾロン、ピュアゴールドの投与を行う。
07/13には尿毒症による脳神経症状が少し緩和したため、膵炎の治療を積極的に行う。これまで生命の危機が大き過ぎ入院は困難と判断していた。
07/19には食欲も安定し、乳酸リンゲル250mlの皮下補液を隔日とすることとした。
以降、貧血治療を行いつつ、週1回程度の皮下点滴と毎日のピュアゴールドの投与を行う。
残念ながら10/15、腎不全の症状ではなく、老衰で死亡した。

4.猫 腎不全
4-1 日本猫
症例番号:F-004IN
ネコ、日本猫、去勢オス、2009/04/01生、15才5ヶ月、4.7kg
初診日:2024/09/06
腎不全
<症状>
食欲なく元気がない、と来院。極度脱水状態を認める。4.7kg
<治療>
ピュアゴールド0.5ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。
09/06より毎日乳酸リンゲル300mlの皮下補液とプレドニゾロン、アンピシリンの抗生物質注射を行う。
09/11には少し食欲が出て元気さも向上したため、この日以降はピュアゴールドと乳酸リンゲル300mlの皮下補液投与を行う。プレドニゾロン等の注射行わないこととした。
09/17には、腎検査数値も少し低下し、全身状態としても日常生活を過ごせる程度となったため、乳酸リンゲル250mlの皮下補液を隔日とした。内服薬として、ピュアゴールドとクレメジン、ラプロスも毎日投薬する。食事も安定して食べるようになったキドニーケアー食も始めることとした。
残念ながら治療の甲斐なく10月11日に死亡してしまいましたが、その前の約1か月間は体調の維持が出来、飼主さんとの貴重な時間を過ごしてもらうことが出来ました。

4-2 洋猫MIX
症例番号:F-015 KN
ネコ、洋猫MIX、避妊メス、2012/04/01生、12才10ヶ月、3.9kg
初診日:2023/10/14
<症状>
継続的週1回程度の皮下補液で腎不全を管理していた症例が、25/01/27より嘔吐下痢症状を呈した。ニューキノロン抗生物質、制吐剤で症状を治めたが、体重において25/01/17 4.25kgから25/02/17 3.9kgへ減少。食欲も徐々に食事量が減った。元気さも同様であった。
<治療>
ピュアゴールド0.3ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において1日2回経口投与している。
02/17から02/22までは毎日乳酸リンゲル250mlの皮下補液とプレドニゾロンの注射を行う。急性腎不全を疑いプレドニゾロンを併用薬として選択した。他には初診時より継続して、PGI 2️誘導体製剤を服用している。
02/23からは少し健康状態が回復したため、通院間隔を3日毎へする治療法を選択した。以降、03/04からは通院間隔を4日毎へ、03/25からは5日毎へ、04/19からは1週間毎へ順次通院間隔を延ばして加療しているが、現在において健康状態は良好であり、腎臓値もある程度の範囲で管理出来ている。
02/18のレントゲン検査にて右腎結石を認めるが、この結石が何らか腎臓内で影響して急性的な腎不全の悪化を招いたのではないかと推測している。ピュアゴールド1日2回経口投与とブレドニゾロンの注射投与においての、症状や腎臓数値の改善の定かな根拠を見出せていないが2剤の抗炎症効果、CBDの血流増進効果や細胞再生能の増強効果等が、良好な管理に結びついていると考察する。しかし、今後においても腎不全症状の再燃を警戒続けている症例である。

<2025/02/18>

<2025/02/18>

4-3 日本猫
症例番号 F-016HC
ネコ、日本猫、避妊メス、2018/07/01生、6才8ヶ月、2.9kg
初診日:2025/02/08
<症状>
食欲なく、元気消失を主訴に来院。
<治療>
ピュアゴールド0.3ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において1日2回経口投与している。
02/08、02/10、02/11、02/13は各日乳酸リンゲル250mlの皮下補液とプレドニゾロンの注射を行う。以前より免疫系統の異常を感じていた猫であるため、プレドニゾロンを併用薬として選択した。
02/10には少し食欲が出て、飼い主様の諸事情もあり来院回数を制限する治療法を選択した。この症例は02/08の検査数値の中でf-SAA値が高値であり、免疫性の腎不全を強く疑った症例である。
02/15より、全身状態良好で、検査結果もある程度正常値化したため皮下補液治療を終了し、ピュアゴールド1日2回経口投与のみの治療とした。以後、03/15まで尿素窒素、クレアチニン値は正常値にて良好な管理が出来ている。しかし、f-SAA、SDMA値は毎検査異常値であり、腎不全症状の再燃を警戒している。

5.猫 腸閉塞が原因と見られる腎不全
症例番号:F-005IA
ネコ、ロシアンブルー、避妊メス、2019/02/27生、5才5ヶ月、3.1kg
初診日:2024/08/13
<症状>
食欲がないを主訴に来院。
<治療>
ピュアゴールド0.3ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。
08/13より、連日乳酸リンゲル250mlの皮下補液とプレドニゾロン、ニューキノロンの抗生物質、メトプラミド、ピュアゴールドの投与を行う。本症例は腸閉塞を疑い薬剤を使用した。08/16には食欲も安定し、08/17にはすべての治療を終了とした。現在も経過良好である。

6.猫 急性腎不全
症例番号:F-006KO
ネコ、日本猫、未去勢オス、2020/08/01生、3才8ヶ月、5.3kg
初診日:2024/05/13
<症状>
尿が出ないと来院。
<治療>
ピュアゴールド0.5ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。
05/13、05/14、05/16は各日乳酸リンゲル4~500mlの皮下補液とニューキノロンの抗生物質注射を行う。病院と飼い主様の諸事情もあり来院回数を制限する治療法を選択した。
05/17には病状が消失したため、皮下補液、ニューキノロンの抗生物質、ピュアゴールド投与をすべて終了した。

7.犬 肝障害
7-1 ミニチュアダックス
症例番号:C-007HB
イヌ、ミニチュアダックス、避妊メス、2011/11/20生、12才7ヶ月、4.8kg
初診日:2024/06/27
<症状>
40℃の発熱と元気消失を主訴に来院。食欲はある程度有り。
<治療>
ピュアゴールド0.5ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において1日2回経口投与している。
各日乳酸リンゲル250mlの皮下補液とニューキノロンの抗生物質注射、NSAID注射を行う。しかし、07/04、CRP値が減少しないためNSAIDをプレドニゾロンに変更。以降、元気食欲良好である。

7-2 柴犬
症例番号:C-013ML
イヌ、柴犬、避妊メス、2012/06/18生、13才9ヶ月、9.5kg
初診日:2025/03/27
<症状>
食欲なく、元気消失を主訴に来院。黄疸を可視粘膜に認める。
<治療>
ピュアゴールド1.0ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において1日1回経口投与している。毎日のリンゲル液の静脈点滴とニューキノロンの抗生物質、肝庇護剤の注射を行う。この症例は重傷症状であり、飼主様が遠方で毎日の通院は困難と告知されたため入院治療とした。肝臓の異常原因は劇物薬物の摂取によるものと推測する。03/31には元気食欲良好で検査値も改善傾向が見られ、飼主様のご希望もあり退院とした。以後、ピュアゴールド1.0mlを1日1回、肝庇護剤1日2回を毎日において経口投与している。その後の検査結果も04/08、04/21と良化しており、04/21にて治療を終了した。

7-3 トイプードル
症例番号:C-014KM
イヌ、トイプードル、避妊メス、2009/12/23生、15才3ヶ月、2.7kg
初診日:2025/04/11
<症状>
食欲なく、元気消失を主訴に来院。重度黄疸を可視粘膜に認める。
<治療>
ピュアゴールド0.3ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において1日1回経口投与している。毎日乳酸リンゲル250mlの皮下補液とニューキノロンの抗生物質、肝庇護剤の注射を行う。この症例は消化器症状も伴っており抗生物質を選択し注射を行った。飼主様が犬と片時も離れ難いとの要望があり通院治療とした。03/01の健康診断検査時には肝臓の異常は全く見られず、肝臓の異常原因は劇物薬物の摂取によるものも疑っている。食欲は治療開始後すぐに改善傾向が見られ、飼主様も少し気持ちの余裕を持ちながら通院して頂けた。04/17には全身症状も安定化したため以後隔日、04/25からは3日1回の通院乳酸リンゲル250mlの皮下補液治療とした。ピュアゴールド0.3mlを1日1回、肝庇護剤1日1回を毎日において自宅にて経口投与している。その後の検査結果も04/15、04/23と良化しており、05/01の検査にて肝臓値及び総ビリルビン値の正常値化を確認して治療の終了とした。

8.猫 肝障害
症例番号:F-017MR
ネコ、ノルウェージャン.フォレストキャット、去勢オス、2022/11/26生、2才1ヶ月、5.8kg
初診日:2025/01/07
<症状>
体温40.0℃、食欲元気がないとの主訴で来院。
<治療>
ピュアゴールド0.5ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において1日2回経口投与している。毎日乳酸リンゲル250mlの皮下補液と肝庇護剤の注射を行う。この症例ウイルス感染による肝炎を疑いラゲブリオカプセルを1日2回1/3capで投薬を行った。ラゲブリオは01/15まで経口投与した。ラゲブリオの人の使用法が5日間投薬であるためこれと同様にした。飼主様の要望があったことと、通院翌日には食欲元気において改善が見られたため通院治療とした。01/17には血液検査値も大幅に改善し、以降通院皮下補液治療を終了とした。その後はピュアゴールド0.5mlのみを1日2回毎日自宅にて経口投与している。その後の検査結果も01/27、02/06、02/21、03/15と良好であり、03/15からはピュアゴールド0.5mlのみを1日1回経口投与とした。04/21の検査にて肝臓値の正常値化を確認してピュアゴールド0.5mlのみを隔日経口投与とした。ピュアゴールド投与は飼主様の要望により継続中である。
感染原因が猫伝染性腹膜炎ウイルスで有ったかは定かではないが、f-SAA、FcoV抗体価とα-1AGは継続して検査を行った。筆者として、抗体価の推移を観察すると関与があると考察している。

9.犬 リンパ性白血病
症例番号:C-008MD
イヌ、チワワ、未去勢オス、2011/01/23生、13才4ヶ月、2.2kg
初診日:2024/05/17
<症状>
全身症状はなく、食欲元気等問題なし。健康診断検査にて病気を発見した。
<治療>
ピュアゴールド0.25ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。
05/17~05/22はピュアゴールドとニューキノロンの抗生物質のみ経口投薬する。
05/22の血液検査で数値の改善が見られないため、プレドニゾロンを2.5mg毎日追加投薬する。
05/22以降はプレドニゾロン、ピュアゴールドとニューキノロンの抗生物質経口投与を行う。
飼い主様の諸事情もあり経口投薬のみの治療を選択した。
常に全身状態は良好で、経過血液検査も順調に推移した。投薬において、8月末には終了へ向かう段階へと移行している。

10.犬 椎間板ヘルニア症
起立不能 ①
症例番号:V-001OB
イヌ、ミックス犬、メス、2023/05/13生、1才1ヶ月、3.4kg
初診日:2024/06/23
<症状>
起立不能を主訴に来院、深部痛覚あり反射反応多少ある状態。
<治療>
ピュアCBD 0.4ml、おおよそ0.1ml/kg強で使用。以後毎日において経口投与している。プレドニゾロンも5mg毎日投薬する。06/30には少し立ち上がり、07/14歩行可能な状態へ回復した。飼い主様の諸事情もあり経口投薬のみの治療を選択した。
<06/30、全身状態の動画>動画9-①-1
<07/14、全身状態の動画>動画9-①-2
起立不能 ②
症例番号:V-002MR
イヌ、Mダックス、メス、2014/02/24生、10才4ヶ月、9kg
初診日:2024/07/16
<症状>
起立不能を主訴に来院、深部痛覚あり右後肢の麻痺が酷い
<治療>
ピュアCBD 1.0ml、おおよそ0.1ml/kg強で使用。以後毎日において経口投与している。プレドニゾロンも10mg毎日投薬する。07/31には少し立ち上がり、08/04歩行可能な状態へ回復した。以後順調に経過し08/20治療を終了する。本症例も経口投薬のみの治療を選択した。
<07/16、全身状態の動画>動画9-②-1
<08/04、全身状態の動画>動画9-②-2
起立不能 ③
症例番号:V-003KB
イヌ、柴犬、去勢オス、2013/04/01生、10才11ヶ月、5.8kg
初診日:2024/03/22
<症状>
起立不能を主訴に来院、深部痛覚多少ある反射反応多少ある状態。麻痺は重度であった。他院で治らないと宣告され転院して来た症例である。
<治療>
ピュアCBD 0.75ml、おおよそ0.1ml/kg強で使用。以後毎日において経口投与している。プレドニゾロンを10mg毎日投薬、治療用レーザーも照射。05/02には少し立ち上がり、05/07少しだけ歩き、05/20ふらつきながら歩行可能な状態へ回復した。プレドニゾロンは症状次第で漸減させている。
動画は07/27ものである。歩行の様子からも重症度が見て取れる。
起立不能 ④
症例番号:C-019SM
イヌ、パピヨン、未避妊メス、2017/02/01生、8才0ヶ月、7.2kg
初診日:2025/02/10
<症状>
起立不能を主訴に来院、深部痛覚があり不全麻痺、歩行は不可能な状態。
<治療>
ピュアCBD 0.7ml、おおよそ0.1ml/kg強で使用。以後毎日において経口投与している。プレドニゾロンも2mg/kgを毎日投薬。その後02/14には少し歩き出したので、プレドニゾロンを1.5mg/kgと減薬した。02/16は完全に歩行可能な状態へ回復し、プレドニゾロンを0.7mg/kgへと減薬。初診日より1週間で歩行可能となる順調過ぎる回復であり、症状の再発を警戒し、もう1週間のプレドニゾロン0.7mg/kgの投与を継続した。
<2025/02/10>
<2025/02/14>
<2025/02/16>
11.猫 猫伝染性腹膜炎症例
11-1 ブリティッシュショートヘア
症例番号:F-009MB
ネコ、ブリティッシュショートヘア、避妊メス、2014/02/24生、10才4ヶ月、5.2kg
初診日:2024/05/31
<症状>
体温40.0℃、元気がないとの主訴で来院
<治療>
ピュアCBD 0.5ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。ニューキノロンの抗生物質経口投与も毎日投薬する。治療するも良化せず、胸水の貯留を認めることとなる。06/07よりピュアCBDからピュアゴールドへCBDを変更する。発熱は39.5℃有るものの食欲は一貫して問題なかった。
猫伝染性腹膜炎の確定診断も出て、06/09よりラゲブリオカプセルを1日2回1/2capで投薬始める。同時にピュアゴールドも1日2回0.5mlへ増量する。06/12には体温も38.5℃へ下がり、06/15にはレントゲン検査にて胸水貯留減少を確認した。インターネット情報源による飼い主様からの希望で、ラゲブリオは06/25まで経口投与し続けた。しかし、06/25の血液検査結果で白血球数の減少と溶血(黄疸)を認めたため、ラゲブリオの投薬を中止した。以後、投薬のやり難さの訴えが飼い主様より有り、治療終了、経過観察とすることとなった。現在まで全身状態は良好である。


2024年6月7日

2024年6月7日

2024年6月15日

2024年7月8日
11-2 和猫
症例番号:F-010SN
ネコ、和猫、避妊メス、2023/03/03生、1才4ヶ月、4.2kg
初診日:2024/07/25
<症状>
体温40.6℃、食欲元気がないとの主訴で来院
<治療>
ピュアゴールド0.5ml、おおよそ0.1ml/kg強で使用。以後毎日において経口投与している。ニューキノロンの抗生物質経口投与も毎日投薬する。食欲がないため07/27まで皮下補液も行った。以後、発熱はあるものの食欲元気良好なため、ラゲブリオの投薬へ飼い主様の承諾を得られなかった。その後了承を頂き、08/03よりラゲブリオカプセルを1日2回1/3capで投薬始める。同時にピュアゴールドとニューキノロンの抗生物質経口投与も毎日投薬する。ラゲブリオは08/08まで経口投与した。ラゲブリオの人の使用法が5日間投薬であるためこれと同様にした。08/27の血液検査結果でf-SAA値の正常化を認めたため、すべての治療終了、経過観察とすることとなった。現在まで全身状態は良好である。

11-3 ベンガル
症例番号:F-011BG
ネコ、ベンガル、メス、2023/01/01生、9ヶ月、2.5kg
初診日:2023/09/05
<症状>
体温40.2℃、元気がないとの主訴で来院
<治療>
ピュアCBD 0.3ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。以後毎日において経口投与している。同時にコンベニア注射を投薬する。食欲良好なため皮下補液は実施していない。ラゲブリオの投薬は飼い主様の諸事情で行わずに経過した。以後の血液検査結果の時系列詳細をデーター化してある。一か月間の治療終了後、現在まで全身状態は良好である。

11-4 ラグドール
症例番号:F-012RD
ネコ、ラグドール、メス、2022/05/01生、2才2ヶ月、2.4kg
初診日:2024/07/28
<症状>
体温39.5℃、フードを食べても太らない、の主訴で来院
<治療>
ピュアゴールド0.3ml、おおよそ0.1ml/kg強で使用。以後毎日において経口投与している。同時に抗生物質は使用せず、食欲良好なため皮下補液も実施していない。ラゲブリオの投薬は飼い主様の諸事情で行わずに経過する。2024/09/01には体重3kgまで増加する。現在まで全身状態は良好である。

11-5 マンチカン
症例番号: F-018TU
ネコ、マンチカン、未避妊メス、2024/07/04生、0才6ヶ月、1.8kg
初診日:2025/02/03
<症状>
体温40.0℃、下痢症状が治らないとの主訴で来院。
<治療>
初日、下痢症状への治療のためニューキノロンの抗生物質投与を行うが全く効果なし。免疫性疾患を疑い通院3日目よりプレドニゾロンの投薬を追加する。これにより下痢症状の改善は認められたが、発熱は40℃から変化しなかった。一貫して食欲は有るが、発育不良で体型として小柄であった。これによりウイルス疾患の潜在を疑い検査を実施、02/05の検査結果を得た。総蛋白特にγグロブリン値が高値で、FcoV抗体価.102400以上、α-1AG.2811であった。FcoV抗体価.102,400以上は筆者が初めて目にする数値であり、こんな数値があるんだなと驚きを持った。γグロブリン値、α-1AG値もかなり大きい数値であることに間違いはない。
ピュアゴールド0.15ml、おおよそ0.1ml/kgで使用。毎日において1日1回経口投与している。ニューキノロンの抗生物質とプレドニゾロン1.25mgの投薬において治療していたが、猫伝染性腹膜炎の診断結果によりピュアゴールド0.15mlも1日2回経口投与に増量した。更に抗コロナ薬ラゲブリオカプセルを1日2回1/6capで02/11より投薬を行った。ラゲブリオは02/18まで経口投与した。ラゲブリオの人の使用法が5日間投薬であるが、この症例は少し長めに投薬をした。プレドニゾロン1.25mgの投与は、ウイルス感染症への考慮から一旦中断した。しかし、ラゲブリオ、ニューキノロンの抗生物質、ピュアゴールドだけの投薬では下痢が再発、02/17プレドニゾロンの投与を再開し下痢を鎮めた。暫くラゲブリオを飲まず、ニューキノロンの抗生物質、プレドニゾロン、ピュアゴールドだけ維持していたが、02/24下痢と低血糖の症状を呈して来院、処置ににより状態を回復させた。これよりプレドニゾロンを1.7mgへ、ピュアゴールドをCBGへ、ラゲブリオを再投薬、ニューキノロンの抗生物質の継続投与にて治療を施した。02/27の血液検査でFcoV抗体価.25600、α-1AG.2365、白血球数38910と病勢が過ぎていないことを再確認し、ラゲブリオにおいても白血球数を観察しながら03/21まで投薬した。03/24の血液検査でFcoV抗体価.6400、α-1AG.985と数値の良化が見られたため、投薬をCBG0.075ml.1日1回経口投与のみとした。しかし下痢症状が再発し、ニューキノロンの抗生物質、プレドニゾロン1.25mg、CBG0.075mlの投薬にて下痢症状を現在維持管理している。
この下痢症状においては、猫伝染性腹膜炎の病状ではなく免疫性疾患の疑いを持っており、英国猫の持つ特性ではないかと推測し始めている。筆者自身、他の英国猫において慢性下痢、関節リュウマチ症に度々遭遇している。これら症例においてもプレドニゾロン、ピュアゴールドの処方にて良好な治療を施している。
