CBDやCBDのオイル価格
CBDやCBDオイルの値段は高い?
CBDやCBDオイルの値段が高価なのは、ヘンプから抽出された状態のCBDの原料(結晶)が高いためであり、ヘンプそのものは栽培が難しかったり、貴重な植物であったりするわけではありません。ヘンプと同じ大麻植物であるマリファナの栽培・所有が発覚するきっかけに、自宅の電気代が極端に高くなったことで怪しまれたといったことをニュースやインターネットなどで聞いたことがあるかもしれません。
そのようなイメージから、ヘンプ(大麻)は栽培が難しく生育にコストがかかる植物であると思われるかもしれませんが、実はヘンプは太陽光と水さえあればどこでも育つような丈夫な植物です。またヘンプは成長速度も早く、気候や土地にはよりますが大体100日前後で収穫できるようになります。
大麻が英語で「Weed(ウィード:雑草)」と呼ばれる所以も、手がかからずにどこでも自生できたり栽培できたりする性質に由来しています。 それではヘンプ自体は本来低コスト・短期間で栽培できる植物であるにも関わらず、なぜヘンプ由来のCBDの価格は高くなってしまうのでしょうか。


理由① 安定したヘンプ供給への課題が多い
日本で販売されているCBD製品に使用されているヘンプの多くはアメリカで栽培されています。キャナウエイにおいてはオランダにて栽培されています。アメリカでは、2018年12月に施行された農業法の改正によって、ヘンプが「農作物(一般の野菜や果物などと同じ扱い)」に分類され、アメリカ合衆国農務省(USDA)によって管轄されるようになりました。農業法改正以前は、ヘンプは乱用度が高い薬物と同じ「スケジュールIドラッグ」に分類されており、アメリカ麻薬取締局(DEA)によって管理されていました。また、ヘンプ栽培が許可されていたのはアメリカ国内の数州のみに限定されており、CBD製品のためのヘンプ栽培ではなく、主に研究に利用されるためでした。
2019年以降は、一般の農作物として0.3%以下のTHCを含有するヘンプであれば誰でも育てられるようになりましたが、法律が変わったからといってすぐにヘンプの増産ができるわけではありません。まず、USDAはヘンプ栽培に関する明確なガイドラインを作成しなければなりません。それまでヘンプを育てていなかった地域でも栽培を開始するのであれば、麻農家の人材育成も急務になります。
また、広大な国土を有するアメリカでは、地域によって経度や緯度、地形、地質、土壌、気候などの条件が全く違ってきます。そのため、同じ植物を同じ栽培方法で育てることは困難です。一般的な野菜や果物でも季節や土壌によって栄養価が変わるように、ヘンプの植物体内で生成されるTHCの量も栽培の条件によって変動します。そのため、その地域の土地に合った栽培方法でなければヘンプのTHC濃度が0.3%を超えてしまい規制植物のマリファナ扱いとなってしまうことがあるため、違法となる可能性があります。
アメリカでは州によって大麻の取り扱いに関する法律が全く違い、また急に変わることもあるため、USDAの定めるガイドラインに加えてそれぞれの州でもヘンプ栽培に関する独自の栽培マニュアルを作成する必要があります。規格下製品の安定供給の困難さにも関わらずCBD製品の人気は拡大し続けており、特に2020年は新型コロナウイルスの影響で売り上げがさらに伸びたと言われています。CBDの需要に対して供給が追いついていない現状がCBDの値段の高騰を生み出しているのです。
理由③ CBD以外の原料にコストがかかっている
CBD製品に使用されているCBD以外の原料にも勿論コストがかかります。例えば、CBDオイルで最も多く使用されるMCTオイルでも、オーガニックのものとそうでないものであれば当然オーガニックMCTオイルを使用している製品の方が高価になります。またCBDは抽出方法によって、CBDアイソレート(CBD単体)、CBDブロードスペクトラム(THC以外のヘンプの全栄養)、CBDフルスペクトラム(THCも含むヘンプの全栄養)に分類されます。
CBDブロードスペクトラムやCBDフルスペクトラムは、よりCBDを感じやすいということで人気が高いです。厳密には日本でCBDフルスペクトラムを販売することは違法になりますが、CBDブロードスペクトラムとCBDフルスペクトラムは厳密に区別されずに名称が使用されていることが少なくありません。
CBDアイソレートよりも、CBD以外に含まれる栄養成分が多いCBDフルスペクトラムやCBDブロードスペクトラムは価格がより高くなります。
理由④ CBDを抽出するための機械の導入にコストがかかる
ヘンプからCBDを抽出する方法には、超臨界二酸化炭素抽出法やエタノール抽出法、ブタンガスやプロパンガスなどを使用した溶媒抽出法などがあります。エタノールやブタンガス、プロパンガスなどを用いた抽出方法は安価であるためCBD製品の価格も安くなりますが、ヘンプの繊維などの不純物も同時に溶解されて製品へ残留する可能性があります。
その一方で超臨界二酸化炭素抽出法は、超低温にすることで液体化した二酸化炭素にヘンプを溶解し、常温に戻った時に二酸化炭素は完全に気化するため、製品には一切二酸化炭素が残留しません。また、二酸化炭素はヘンプの繊維を溶解することはないため純度が高いCBDが抽出され、安全性が最も高い方法として推奨されています。 しかし、超臨界二酸化炭素抽出を行うには特殊な機械の導入が必要となるため、その分CBDの価格も高くなります。



理由⑤ 輸入コストがかかる
日本国内でもヘンプは栽培されていますが、衣類や工芸品、神事などでの利用に限定されており、都道府県知事によって発行される大麻取扱者免許が必要になります。現段階では日本でCBDの原料を生産することができないため、日本で販売されているCBDはすべて海外から輸入されています。CBDを輸入するには様々な書類の準備や検査が必要となります。CBD製品の値段にはこのような手間賃や輸送のコストなども加味されています。
理由⑥ 品質検査が重ねてられている
高品質なCBD製品はTHCや身体にとって有害物質などが含まれていないか、CBD以外にどのような栄養成分が含まれているか、ということが製造元ではなく第三者機関によって検査されています。特に、日本に輸入される製品は輸入前だけでなく輸入後にも日本国内で検査されていることが多いです。第三者機関による検査の回数が増えると当然製品の値段にも影響しますが、安全性の指標とも言えるでしょう。