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CBDやCBDオイルとてんかん

てんかんはどんな病気?

セミナーなどの公共の場で突然苦しくなり、けいれんを起こしたり、意識を失ったりする。
てんかんとは、このような「てんかん発作」が繰り返し起こる病気で、WHO (世界保健機構) によると世界で5,000万人の方がこの症状を抱えているそうで、日本でも100万人の患者がいると予想されています。

発作は、脳の一部の神経細胞が異常な電気活動を起こすことによって起こるとされていますが、その発作の出方によって、全般発作と部分発作に分けられます。全般発作は、意識を消失し動作が止まって応答がなくなる、倒れて全身をけいれんさせるなど、患者は周囲の状況がわからないような状態となります。部分発作では意識がある場合もない場合もありますが、目の前がチカチカする、手足がピクピク動くなど、患者自身が感じられる症状を示します。

てんかんが起こる原因にはさまざまなものがあります。傷害や病気などの発症の要因となるものがなく生まれ持った脳の性質によって起こる場合 (突発性てんかん) や、脳出血やアルツハイマーなどの脳への障害が原因となる場合 (症候性てんかん) があります。

その根本的な要因として、遺伝的素因などの理由が考えられていますが、詳しいことはよく分かっていません。てんかんの症状は患者によって違いがあるため、症状に合わせた治療をしなくてはなりません。治療にはたいてい、抗てんかん薬が用いられます。患者の症状をみながら、複数の薬を組み合わせることもあります。しかし、副作用もあるため、医師とよく相談して治療にあたる必要があります。

しかし、薬だけで発作が抑制されるとは限らず、食事療法を組み合わせたり、脳の発作の起こる部位を切除する手術などを行ったりする場合もあります。睡眠不足やストレスの多い環境を避けることも、てんかん治療にはとても重要です。 てんかんはどの年齢層でも発病する可能性があります。しかし、特に小児と高齢者の方の発症率が高いと言われています。

CBDは脳神経の働きに関与して、てんかんの発作を抑える

CBDがなぜてんかんに効果があるのかの議論には、さまざまな意見があります。

ひとつには、CBDが生体に効果を与える作用機序として、エンド・カンナビノイド・システム (ECS) という生体システムの関与が考えられます。

ECSは生体のあらゆる部位に存在するカンナビノイド受容体を介して起こるシグナル伝達経路であり、生体の様々な機能・恒常性の調節を行いますが、脳神経系にも大きく関与しています。

つまり、CBDがこのECSの働きを調節し、脳神経に異常信号が起こることを防ぐことで、てんかん発作を抑えているとも考えられます。

ただし、CBDは直接的にカンナビノイド受容体に結合せず、ECSへの関与は間接的という説もあります。

一方で、別の受容体への親和性が確認されています。

そのひとつとして挙げられるのが、バニロイドレセプターと呼ばれる受容体ファミリー (同様な構造や性質をもつ受容体の種類) の一種であるTRPV1です。TRPV1はカルシウムイオンの輸送に関わり、てんかん発作などの原因となる神経興奮を引き起こし得るともいわれますが、マウスを使った実験で、CBDがTRPV1の働きを調節し、発作を抑えることが示唆されています。

次の例として、セロトニン受容体である5-ヒドロキシトリプタミン (5-HT) が挙げられます。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、5-HTはうつや不安障害の治療にも注目されている受容体ですが、実はてんかんにも大きく関与しているのではないかという説もあります。

CBDは5-HTの種類である5-HT1A, 5HT2Aとの相互作用が確認されています。てんかんと5-HTの関連については詳しいことは明らかになっていませんが、CBDの5-HTへの相互作用によって抗てんかんが期待できるのでは、と考える専門家もいます。

このように、CBDはECSに関わることはもちろん、他の複数の受容体とも相互作用します。それらのメカニズムのいずれかが抗てんかんに貢献しているということは、大いに期待できるところです。 詳しい作用機序はまだ明らかになっていない部分が多いので、今後の研究結果に注目が集まります。

CBDがてんかんにどれほどの治癒効果を与えるのかを調べるため、これまでにも複数の臨床調査が行われています。2016年に行われたアメリカの調査では、200人以上のてんかん患者を対象 (ドラベ症候群やレノックス・ガストー症候群を含む) に、CBDを経口投与する実験を行いました。その結果、被験者うち64%に有意な発作の減少がみられました。

CBD製品の選び方

麻といえば、マリファナという麻薬の原料となる植物 (大麻) の印象が強く、そのためCBD自体も危険なものでは、と警戒する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、CBD自体は決して危険なものではありません。

麻に含まれるカンナビノイドには、100を超える種類のものが確認されています。その中で、マリファナの主成分であるカンナビノイドはTHC [Tetrahydrocannabinol; テトラヒドロカンナビノール] というものです。THCを摂取すると、脳神経に直接作用し、強い精神活性作用 (俗にいう「ハイ」になる作用) をもたらします。そのうえ、依存性や中毒症状、心拍数を増加させるなどといった身体への悪影響が出ることもあります。

しかし、大麻が危険であるという認識はTHCのみによるものであり、CBDにはそのような作用は確認されておらず、日本でも規制対象にはなっていません。それどころか、CBDは精神のリラックス効果をはじめ、心身に多大な良い効果をもたらすことが、研究によって明らかになってきました。アメリカでは多くの州が医療大麻を認可しており、CBDも治療に使われています。日本では現在、CBDの処方は一般的ではありません。しかし、病気の症状の改善が見込めるとして注目する医師もいます。

そのようなCBDを気軽に摂取できるよう、多様なCBD製品が開発・販売されています。CBDオイルは、CBDをオリーブオイルやMCTオイルといった天然由来のオイルに配合した製品です。CBDは脂溶性であるため、オイルと混ぜることによって身体への吸収率が高くなります。実際にCBDオイルはCBDの生体利用効率や効果の持続時間のバランスが良く、さまざまな用途に使用できるというメリットがあり、CBD製品の中でもとりわけ汎用性が高いアイテムと言えます。

副作用や薬との併用に注意

CBDは基本的に無害で安全と言われていますが、生体の機能にさまざまな関与をする物質である以上、副作用がないわけではありません。健康な人ならともかく、持病を抱えていれば予想外の悪影響が出てしまう可能性も否定はできません。よって、てんかんの方がCBDを摂取する際には自身の健康に十分留意し、万が一体調がおかしいなどの異変を感じたら、摂取を中断するなどの対応が望ましいでしょう。
また、治療薬を処方してもらっている場合は、より注意が必要です。CBDは一部の薬と薬物相互作用することが報告されています。

特に肝臓内で代謝・分解されるタイプの薬剤との相互作用が大きいとされています。それは、肝臓内に存在するシトクロムP450という酵素群の働きを、CBDがブロックしてしまうためです。実際にてんかん治療薬の中には、エトスクシミドやクロバザムなどシトクロムP450による影響を受けるものが存在します。ただし、クロバザムとCBDを併用した際、クロバザムの処方量を減らしたにも関わらず患者の発作程度や頻度が減少し、むしろ薬効が上がったことが示唆されるデータもあります。

つまり、必ずしも悪影響が出ることが確認されているわけではありませんが、やはり薬の薬理効果や強さを変えてしまうのは事実ですので、CBDとの同時摂取には十分注意しなくてはなりません。先ほど紹介した臨床実験でもCBDによって、てんかんの症状が改善された人がいた反面、好ましくない結果が確認された人もいました。 てんかん薬を処方されている方は、CBDの摂取をしたい旨を医師に相談し、適切なアドバイスをもらうようにしてください。

てんかんへの効果が期待されるCBDやCBDオイルですが、購入したり摂取したりする際の注意点がいくつかあります。

CBDの効果のエビデンスが少ない反面、犬に対して重篤な影響を与えるという報告もありません。その点では安心することができます。

CBDやCBDオイルと犬のてんかん

また、犬などペットを飼われている方は、自身だけでなくペットの体調も気にかかるところでしょう。犬もヒトと同様に病気にかかることがあり、てんかんもかかり得る病気のひとつです。「CBDは犬のてんかんにも効果があるの?」と、飼い主の方であれば思われるかもしれません。

実は、CBDは犬など人間以外の哺乳類にも効果があると考えられています。CBDなどカンナビノイドの効果の要とされる生体システムであるエンド・カンナビノイド・システム (ECS) は、ヒトだけでなくさまざまな哺乳類や脊椎動物でもあると考えられているためです。現に、2019年にCBDが犬の治療に効果があるかどうかの実験を行ったところ、CBDによって犬のてんかんの症状が改善されたという結果がみられました。

このように、犬においてもてんかんなどの症状にCBDの効果は期待できます。ただし、現段階では犬を対象にした研究は少なく、口渇、血圧低下、傾眠傾向、下痢、嘔吐などといった副作用が、人間と同じく犬にも起こるとも言われています。そのため、飼い主は責任を持ってCBD投与後の犬の状態を観察することが必要です。